老害大学生の作品感想記録庫

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Aster プレイ 完走した感想

今回は2007年11月09日発売のRusk(解散)のAsterをプレイしました。


この先はガッツリネタバレになるのでお気をつけください







まずゲームとしては複数主人公型の物語で
所謂共通ルートの最後に起きる事故をきっかけに
被害者、加害者、遺族などの視点から
その事故についてやアフターストーリーを進めていくといった構成になっています。
共通の後は各ヒロイン→Afterを進め
最後にAsterでエピローグというかトゥルーエンドというかといった流れでした。
声優がかなりよくて
メインキャラからサブキャラまでかなり良かったです。
男性陣でいえば前作組の
岸尾だいすけさんと山口勝平さんがやはり特徴的で
モロバレでしたね笑
女性陣もかなりレベルが高かったように感じます
エロゲとしては珍しい部類に入るゲームですかね。
あとこのゲームはバグが酷いことで有名なのですので
ダウンロード版をおすすめします(筆者はパッケージで買った)

さて各ルートについて触れていきましょうか


まず共通ルート編
このゲームでは上述の通り主人公が複数いるので
あまり共通ルート、という程では無いのですが
メイン主人公と幼なじみの双子の沙耶と沙希とのお話。
恋仲になった主人公と沙耶ちゃんですが交通事故によって死別。そこでOPが流れます
地味に沙耶ちゃんの声優さんがこの2個前にプレイしていた
harukazeのAQUAの柊なずな先生でびっくりしました...
OPはかなり名曲の部類でこの後も劇中歌としてアレンジされて出てくるのですがこれが流れるシーンは泣けるシーンも多く思い出深い曲になりました。
このゲームはそこに奇跡は起こらない
とあるように基本的に奇跡の力で回復して
ハッピーエンドとはならずに
死別や後遺症に対して周りの人間は、自分は如何にして付き合っていくのかという作品でした。
いつもSF系をやる自分としては少し新鮮で
考えさせられましたね。


「山吹美幸」編
視点は打って変わって事故の原因へ。
彼女は直接の加害者では無いのですが事故を起こしてしまった原因の女の子。
奥手で気の弱い育ちのいい子という個人的に好みな女の子なのですが
やはり母親との死別というのは心が痛みますね。
すれ違いというか本気で思っていても
ちゃんと伝えないと時にそれが大変な事になるという事でした。
After編では所謂悪役である新聞記者の人の人間味や父親の思いが伝わってきて暖かい気持ちになりました
またこのゲームには基本的に根っからの悪人っていうのはいなくてちゃんと真意を知れる場面が入っているのは非常に良かったです。



「小田巻雛」編
事故の被害者の1人
彼女のルートが個人的には1番キツかったですね...
序盤は00年代感じる気の強い金髪ツインテの妹キャラで
山吹美幸編の主人公の妹で
主人公の京ちゃんは元荒れていた硬派でめちゃくちゃズレてる
そんな2人のノリのいい生活から始まるんですけど
事故。
そして回復するもしばらくして
後遺症によって回復の見込みのない失明。
個人的に視力がめちゃくちゃ低いのもあって
失明の恐怖が裸眼で目のいい人よりも強いんですよね。
別れを切り出されるシーンは高校生だというのに
自分の幸せより彼氏の幸せを優先しようとする雛の心情にかなり胸を痛めました。
Afterでは後天的に失明した人間の苦労や苦悩が伝わってきましたが周りに支えてくれる人がいる限り人は1人では無いのだなぁと思います。


「姫萩はるな」編
次の視点は遂に加害者側です。
加害者側といっても彼の母親も事故で無くなっていることから加害者側の遺族なんですよね。
非常に現実的でこの場合の被害者の遺族との関係って本当にこんな感じなのかもと思ってしまいました。
途中に出てくる笹岡の嫌な奴さはめちゃくちゃリアルで
野次馬の中でもいそうなラインでした。
Afterである程度彼の真意がわかって評価は回復しましたが少し関わりすぎな気もします。
はるな先輩ですがおっとりとして抜けてるキャラで
友達がメガネでしっかり者の若菜さんといういいコンビでした。
このルートではるな先輩が引いたピアノ版の二つの空が心にすごく沁みてガッツリ泣きました。
また恋愛的な目でずっと見ていなかった人からの好意についてどうするべきなのか。といった事も考えさせられました。




「柚月沙希」編
遺族視点。
共通であれだけ明るく楽しく過ごしていた主人公、沙希、沙耶3人の関係が崩壊し、現実を否定する主人公にはかなり来るものがありました。
死の受容の五段階ではないですが
否定から怒り、立ち直りまでの主人公の物語と
最愛の姉を失ったのにもかかわらず主人公に寄り添う
沙希の2つの物語でした。
傷ついててもどれだけ否定されても寄り添おうとしてくれた沙希の最後の慟哭する所は
本当に限界が来ている感じがして演技力だなぁと思いましたね。
Afterでは遺族の生き方についてとにかく考えさせられました。
結局遺族はその人を置いて生きていくしかなくて
それでも自分だけ幸せになるのは故人に申し訳なくて
そんな葛藤が伝わってきて
この物語の1番の本質的な部分だと思います
自分の周りの人間が亡くなった時、自分はどう生きていけばいいのだろうと考えさせられました。




「Aster」
トゥルーエンドというよりはエピローグに近い感じで
短いお話でした。
事故の瞬間から沙耶がなくなるまでの姉妹のやり取りの後、時は進み沙希と主人公が付き合ってから2年がたった命日のお話で
死人は生き返らないんですけどほんの少しだけ奇跡が
起きて。
ここでもアレンジの二つの空が流れてかなり涙がでました。
最後タイトル画面が変わるのでも泣けましたね。




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この物語は故人と残された人の物語です。
周りに残された人というのは悲しみを背負ってでも
生きていくしかないのです。
その中でどうやって立ち直っていくのか、どう未来に向けて顔を上げるかというのは考えておいた方がいいのかもしれません。
更にいえば自分が死んだ時残された人間がどうやって生きるのか。自分はどうして欲しいかというのを
生きている内に伝えておくというのは必要かもしれません。
人は死んだら生き返らないですし、基本的に幽霊になって出てくる事もできません。
ありがちな感想にはなりますが
人と人とは支え合わなければ生きていくことはできません。
死生観についてよく考えさせられる作品でした。
名作と呼ばれるべくして呼ばれている作品です
よければぜひプレイしてみてください。